2017年7月29日土曜日

憲法施行70年を記念して
憲法70年、私の憲法運動
    杉井静子(弁護士、東京革新懇世話人)
 
私は1944年の生まれだから、憲法より少し年上である。しかし、憲法の70年は私の人生70年とほぼ重なる。三姉妹の長女で昔ふうにいえば「跡取り娘」なので、結婚をする時、「今の憲法で良かった」と実感した。相手も一人息子で、戦前の「家」制度の下では結婚できなかったかもしれない。しかし憲法241項では「婚姻は両性の合意のみに基いて成立する」とあるから、親の反対があっても結婚できたからである。
 “憲法と女性の権利”は私の生涯のテーマとなった。
 弁護士になったのは1969年。60年安保闘争の後の民主的運動が盛んな時期で、各地、各団体で憲法学習会がとりくまれた。新米弁護士も講師に頻繁に呼ばれた。公民館でも女性講座が多く、そこからも声がかかった。
 1981年当時、私は自由法曹団婦人部(現女性部)の責任者であったが、第三子を出産し産休中であった。ところが奥野法相(当時)の改憲発言、自衛隊統幕議長の徴兵制発言等々の動きに「憲法が危ない!法律家として何かしなければ!」との強い思いにかられた。出産後の初仕事は「憲法とわたしたち」というパンフづくりだった。婦人部員が共同執筆したものをまとめ、カンパをつのり自費出版した。
 私はこの作成過程で、戦後、改憲策動は根強くあったが、国民は憲法を手がかりに民主主義や人権を確立する運動をねばり強くすすめてきたことに確信をもった。同時に、憲法がくらしと結びついていることを明らかにする憲法学習が大事であると痛感した(団女性部の憲法パンフはその後、三訂版まで出ている)。その後も憲法学習会ではたくさんの新聞切り抜きを材料に、それらを憲法の視点で見ることを重視してきた。

 現在、安倍内閣の下で、9条に3項を追加して自衛隊を明記する改憲が進められようとしている。これは自衛隊の存在を認める国民が大多数である現状の下での極めて巧妙な改憲案といえる。これに対しては、護憲か改憲かとか、自衛隊は違憲か合憲かといった論争ではなく、自衛隊は必要と考えている人たち、時代にあわせて改憲すべきと思っている人たちとも大いに議論して対話をする。くらしと憲法の結びつきを考えることが、ますます重要と思うこの頃である。

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