2010年10月8日金曜日

楽しんでもらい、明日へのエネルギーとなるお芝居を

 -「夢千代」役の今村文美さん(前進座)-
   前進座では10月から東京で、早坂暁原作『夢千代日記』を公演します。「夢千代日記」はNHKドラマとして放映され、ひなびた温泉町に生きる芸者たちの人生を織り込みながら、胎内被爆という宿命を背負って生きる夢千代の、あたたかく美しい物語が好評を博しました。そこで、「夢千代」役を演じる今村文美さんにうかがいました。



-『夢千代日記』を演目に選ばれた理由は、何ですか。
   原爆投下から65年、核兵器廃絶の国際世論が、かつてなく高揚しています。これからも訴えていくことが大切と思います。前進座は大衆のための劇団として、『銃口』『母』など平和をテーマにした作品を扱ってきましたが、今回は、被爆の問題に挑戦することにしました。
芝居は、娯楽性も大事です。前進座は来年80周年を迎えますが、女優がたくさん育っています。芸者役として、唄・三味線や踊りで、観客の皆様に思う存分楽しんでもらおうと選びました。

 -「夢千代」役を、どのような思いで演じられるのですか
夢千代を通して多くの方に出会い、被爆体験をうかがいました。聞かせていただき、8月には原爆犠牲者慰霊祭にも参加。「8月6日は、恐ろしいけれどかならずやってくる」と重い口を開いての体験談を、嗚咽をこらえて聞きました。本当のことを知らなかったとの日々です。
夢千代は支えあって生きていく中で、原爆手帳を取ろうとするなど変化・成長していきます。
楽しんでもらい、明日へのエネルギーとなるお芝居を演じたいと思っています。

-原作者の早坂暁さんは、東京革新懇の「人間講座」でお話くださったことがあります。「花へんろ」の執筆が終ったあとで、「昨日を忘れたら明日は見えない」、昨日を忘れないためにも歴史から学ぶことが大切だと訴えられました。
   早坂先生は、この公演のプレ企画で講演され、原爆の悲惨さ、二度とあってはならないこと、などと強調されました。「心に被爆してください」との言葉が印象に残っています。

-革新懇運動は、国民生活の向上、平和、民主主義の3点で共同を広げ、「国民が主人公」の日本をめざしています。東京革新懇は来年30周年を迎えます。会員へメッセージがあったらお聞かせください。
  『出雲の阿国』の中に、次のようなせりふがあります。「私らの唄や踊りを、何で、人は銭を払うて見にくるのじゃろうか。」「みんな心楽しむ故やろう。」「美しいもの、面白いもの、おかしきものはよいものや。」「楽しんだ心が残ろう。銭では買えんほどのものが残ることもあるわ。」ところが、国民のくらしにゆとりがなくなり、演劇を見る人が減ってきています。演劇を多くの人に楽しんでもらうためにも、革新懇の前進を願っております。

《「夢千代日記」公演日程》
10月15日(金)~24日(日)前進座劇場
12月27日(火)~9日(木)浅草公会堂
チケットのお求めは前進座東京営業所
℡:0422(49)2811

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