「ハゲタカ」から、
日本の中小企業をまもる
椎名麻紗枝(弁護士、東京革新懇世話人)
数年前にNHKで放映された「ハゲタカ」というドラマをご覧になった方も、多いであろう。
今、あのドラマを地でいくように、外資系ファンドによる中小企業までもの乗っ取りが、各地で進行している。中小企業の多くは、金融機関からの借金を資本金がわりに経営を行ってきた。しかし、バブル崩壊後、金融機関の不良債権処理が大きな問題となり、貸しはがしが横行した。アメリカの金融資本が、巨大な不良債権を狙っていたことがその背景にある。不良債権をただ同然で買い取り、企業の乗っ取りを仕掛けるのだ。中小企業のばあい、株式を公開していないし、公開していても株式を取得するには、莫大な資金が必要になる。しかし、不良債権の買い取りは少額で済む。不良債権を買い取り、大口債権者として、売り掛け債権の差押、競売、さらには破産申立を脅しにして、会社の人事や経営に介入するのだ。
政府は、一昨年3月末で中小企業等金融円滑化法が失効したのを機に、中小企業に対するファンドの乗っ取りを加速させようとしている。過去、整理回収機構の行った「企業再生」は、企業の名前こそ残しても、経営者の追い出し、従業員のリストラ、地域商店との取引解消など、地域経済を疲弊させるものとなった。しかも、ファンドの多くは、タックスヘイブンで儲けても税金は払わない。
亀井静香元金融担当大臣が、著書「晋三よ、国滅ぼしたもうことなかれ」で警告しているとおり、「外来資本主義」に日本の優良な企業がのみこまれかねない状況にある。これを食い止める方法は、中小企業の過剰債務の軽減だ。ハゲタカに巨額な儲けをさせるよりは、中小企業の過剰債務を軽減することがどれだけ日本の経済の活性化につながるかは明かだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿