2015年4月8日水曜日

最近思うこと

「教え子を再び戦場に送るな」
の原点に返って 
 工藤 芳弘 
  都教組合委員長
  東京革新懇代表世話人

「教え子を再び戦場に送るな」とのスローガンは、日本の教職員組合運動の原点だ。
このスローガンは、1951年の1月に採択され、同時に、「全面講和」「中立堅持」「軍事基地提供反対」「再軍備反対」という、講和と日本の進路についての「4つの原則」も採択された。
戦前、教育は国民を戦争にかりたてるための強力なテコとして使われた。その中心は、天皇を神として崇拝し、日本を天皇が治める国として、アジア諸国への侵略を正当化し、それを「聖戦」として美化することだった。そして、国のために死ぬことがもっとも尊い行いだと、教師は子どもたちに教えた。教育は、完全に国家の統制のもとにおかれ、学校は国民学校となり、教科書も国定教科書となったのだ。
このような中で、日本の教師たちの多くは教え子を戦場に送る役割を担わされ、何百万という若者を戦場に送った。
その悔恨の思いと反省から、戦後の教育は出発し、教職員組合は、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを高々と掲げたのだ。
1947年5月3日には、日本国憲法が公布され、当時の文部省は、新制中学校1年生用社会科教科書として、『あたらしい憲法のはなし』を発行した。これを手にした子どもたちや教職員が、どのような思いをもってそれを受け止めたのかは想像に難くない。「戦争の放棄」については、「日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです」とはっきりと書かれている。
ところが、今の日本はどうだろう。特定秘密保護法、集団的自衛権行使、沖縄の米軍基地問題、そして憲法九条改悪の動き・・・。それと一体となった安倍「教育再生」。戦前の日本が重なってくる。

「教え子を再び戦場に送るな」―今こそ、この原点に立ち返り、この思いを新たにしなければならない。

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