2013年10月1日火曜日

五輪と平和と被災地事情
     ー日々の思いによせて      
  
川嶋みどり 
  日赤看護大学名誉教授
  東京革新懇世話人  
 7年後のオリンピック開催が東京に決まった際先ず浮かんだのが、この2年半のあいだの被災地事情であった。定年後の看護師数名で”東日本これからのケア”を立ち上げて、不自由な仮設住宅での孤立感を少しでも和らげ、お隣さんづくりに役立ちたいと小さな活動を始めてから23ヶ月。ハンドケアやフットケアをしながら、季節ごとの体調保持の実技や健康相談、お茶っこ会、楽しくつくって美味しく食べる会などを続けて来た。それぞれの喪失感や悲しみの質は時を経て変化はしても、決して軽くならないことを感じながら、仮設生活の不自由さをかこつ声に耳を傾けてきた。
 雨の降る度に床下に溜まる水、壁1枚では筒抜けの隣りの音を気にしながらのストレスフルな生活に疲れが目立ち、家族内、隣人間の人間関係の悩みを語る頻度も増している。なかでも、高齢者の心身問題はいっそう深刻である。狭い空間のなかでの不活発症候群を始め持病の悪化が懸念される。3度目の冬を迎えるに当たり、災害関連死を防ぐ積極的な手立てが急がれる。客観的に見ても復興のテンポの遅さは気になることだが、当事者にとっての最大の問題は見通しのない状態が何時までも続くことである。
 そうした中、福島第一原発の汚染水漏れに心痛める大多数の国民の思いをよそに、「汚染水は完全にコントロールできています」と平然と言い切った安倍首相の態度は許せない。白い防護服に身を固めて視察するパフォーマンスに騙されてはならないと思う。国際社会の場で、白を黒と言い切ったそのことは、五輪誘致のためのその場凌ぎの発言というよりも、平和や憲法を揺るがし国防軍創設や秘密保護法など、戦時体制に向かって進む姿勢の一端と見るべきではないだろうか。「あの発言はおかしい!」と言い続けなければならない。そして、平和の祭典の主催国としての矜持と国際的な信頼のためにも、平和の尊さを声高に主張し続けなければならないと思う日々である。


 

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