下町人間庶民文化賞受賞
有原誠治さんにインタビュー
受賞の感想は如何ですか
めったに賞など頂いたことがありませんので、私などでいいのかなぁ・・・との戸惑いもありました。が、今は素直に喜んでいます。光の当たらない所に光を当てるのが下町人間庶民文化賞、とも聞きました。庶民による、庶民のための文化賞というのが、とても嬉しいですね。
受賞の対象は何ですか
私は戦後まもない1948年生まれで、新しい憲法の下で教育を受けて育ちました。おかげさまで、アニメーションや映像制作を仕事として自由に選択できました。その仕事で恩返しとも思い、〝マイナー〟と云われながらも戦争の悲惨さや平和の尊さを描き続けてきました。
1991年に監督したアニメーションの「うしろの正面だあれ」から2015年の「一歩でも二歩でも」まで、反戦、反核平和の作品をつくり続け、また同テーマの海外の映像作品に字幕をつけて日本に紹介してきたこと。さらには、労働組合や東京革新懇などに参加して活動する傍ら、被爆者の声をうけつぐ映画祭を10年間開催し続けて来たことなどが、主な受賞理由でした。
抱負をお聞かせください
安倍内閣の〝戦争できる国づくり〟への暴走が続いています。その一方で、日本の反核平和運動の牽引者であった被爆者の平均年齢が80歳を超えて、証言することも行動することも困難になりつつあります。危機感を持ちつつ、被爆者の活動をカメラを持って追いかけて、後世に残そうと記録しています。
私(68)もすでに高齢者ですが、被爆者の方が云うには、まだまだ〝若造〟だそうですから、がんばらないといけません。
もう一つ、現在取り組んでいますのが、長年に渡って記録してきた慢性疲労症候群、別名筋痛性脳脊髄炎という難病患者のたたかいをドキュメンタリーにまとめる作業です。来春完成予定です。